思考の用語辞典
私達凡人の考えつく概念とか世界の切り取り方というのは、
大抵もう既に過去の誰かが、私達よりよっぽど素敵なやり方で考え付いているので、
下手に造語を作るよりは先人のものをそのままお借りして思考を進めるのがすごい得策だと思う。
理系の人も過去に証明されたものは普通に利用するもんね、巨人の肩。
哲学書を読むのはかったるいけど、でもブログとかで小難しい”用語を使って”思考実験したり概念を定義したいテイストの人は、
もちろん一から自力でやるのもいいんだけど、基本的にはそれだと文系の高等で陰湿な人達に心の中でバカにされて(専攻してる人が大学でそれやった場合は殺されるけど、別にそのほかの人は見逃してよとも思うんだけど、容赦ない人は容赦ないかもしれないし)、
せっかく格好つけたいところが台無しになるから、
どうせならざっくり既に様々な知の巨人達に定義されてきた概念たちを一応さらっとくといいと思う。
で、というときの手始めにこの中山先生の本は素敵だと思うのでご紹介します。
- 作者: 中山元
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/02/01
- メディア: 文庫
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こういう哲学の概念たちは、カントのことばをかりれば「哲学素」とよんでもいい。そして哲学素は、経験によって証明できるものじゃなくって、ぼくたちが考える問題そのものを構成し、ぼくたちが哲学を考えるときに基本になるような問題群なんだ。そんなわけでこの本にはいろんな概念、つまり哲学素が登場する。ぬいぐるみだけじゃない、はしごだってかなづちだって登場するかもしれない。なんたって西洋哲学のおもちゃ箱、もしくは道具箱には二千五百年ぶんのびっくり仰天がつまってるんだ。たっぷり驚いてほしい。そして感動もしてほしい。
p.005 哲学の舞台
以下いくつかさわりを抜書き
熱い。冷たい。それ皮膚感覚じゃない?哲学で登場するのはへんじゃない?たしかに。でもニーチェ以来、身体感覚は哲学の世界でもだいじなテーマになってるんだ。それに抽象的な概念ばっかりじゃなく、ものを考えることをどんどん広げてゆたかにするには、いろんなところに手をのばしてみるのもいいのではないだろうか。「理性の他者」というか、身体の領域には、まだぼくたちが探検できる土地が、たっぷりひそんでいるはずだ。
まずは科学からふりかえろう・・・p.021 熱いと冷たい chaud/froid
貨幣は古くてあたらしい、そしてすごくおもしろいテーマだ。ギリシア語で貨幣はノミスマ、法律はノモス。ふたつのことばはごく親しい間柄にあった。貨幣と法は仲がいいというか、ノミスマは「ノモスによって是認されたもの」という意味だ。こうよばれたのは、自然であるピュシスにたいして、貨幣は人が定めたものだからで、ポリスごとにことなる点が法律と似ていたかららしい。
ゆっくりいこう。まず法律を意味するノモスという語は・・p.117 貨幣 money, Geld
ここはマルクス、ヘーゲル、ジンメル、レヴィストロース、レヴィナス
知ってる?かつて狂気は神聖だった。すくなくともプラトンのころ、狂気は両義的なものだったんだ。狂気は理性をうしなった人間の失墜したすがたではある。でも神的なものとの通路でもあった。だから神的な理性というとくべつな地位をみとめられていた。プラトンにとって詩人は、常人にあたえられない通路をつうじて神と交流する者で、それじたい一種の狂気にちかい存在だったんだ。その後ながらく中世まで、狂うことの両義はたもたれていたのに、近代のはじまりにいったいなにが起きたのだろう。そこで人間はぐらりと理性の側にかたむく。
p.157 狂気 foile, aliénation, Wahsinn
構造主義っておぼえてる?そうフランスの。もう昔?まあね。ビートルズみたいなものかなあ。戦後のある時期に大流行したんだね。いま聴くとちょっとものたりないけど、でもいろんなひとが影響をうけた。構造主義もちょっとそうかもしれない。あとの流れにずいぶん大きな影響をあたえた。それにやっぱり魅力があったからおおぜいのひとたちをひきつけたのだろう。なんとってもあたらしかった。
p.237 構造 structure
ソシュール、ヤコブソン、レヴィストロース、ロランバルト、ルイアルチュセール、ミシェルフーコー、ジャックラカン、デリダetc.
哲学のいとなみは「死の稽古」だ。身体はつぎつぎと脱ぎかえる衣装のようなものだから、死を恐れることはない。ギリシアのむかし、プラトンがえがいた最期のソクラテスはそう語った。そうしてプラトン自身はピタゴラス派の伝統にしたがって、身体を精神の「牢獄」とよんでいた。身体という牢獄。ぼくらにも切ないひびきだ。
p.293 身体 body, corps, Körper
超越的と超越論的ってちがうの?うんちがうんだ、ややこしくてごめん。transzendentとtranszendentalのちがい。ってぜんぜん説明にならないか。この区別をいいだしたのはカントだけど、この形容詞の小さな語尾のちがいに、ある意味でカント哲学の根本がかかっているんだから困る。
p.368 超越論的 transcendental, transzendental
あうう。めんどいので目次一覧行きます。
この中で気になる概念があったら、そこに出てくる人の本読むみたいな。
そこから拡げて、ブログのネタにいかがでしょーか。
遊び
熱いと冷たい
アナロジー
アレゴリー
アンビヴァレンス
異化
意識
イデア
イデオロギー
因果関係
隠喩
演繹と帰納
エントロピー
外延と内包
概念
外部
鏡
過剰
カタルシス
価値
貨幣
神
還元
観
換喩
機械
規範
気分
狂気
共生
共同体
空間
群集
経験
系譜学
啓蒙
契約
言語
現象
権力
光学
交換
考古学
構造
幸福
音/音素
差異
時間
システム
主語と述語
消費
女性性
審級
身体
真理
正義
生産
制度
世界
責任
戦争
贈与
疎外と物象化
存在
他者
力
地平
超越
超越論的
ディスクール
テクノロジー
道具
独我論
ノマド
場
排除
パラダイム
表層
風土
分節
文法
ペルソナ/仮面
弁証法
方法
暴力
本質
翻訳
まなざし
無意識
命令
物語
野生
夢
欲望
ラング
理性
レトリック
論理
目次
なんかSEO対策ページみたいになってしまった。。
もちろん、まず読み物としてすごく面白いです。
知ってる人にはつまんないかもしれないけど、私には面白かった。
知らないことたくさんあったし、こうやって1人の人がこれだけ多くの概念を解説してるのってあんまり見たことないので、、。
・・しかし語り口が優くて字がわざと簡易な本ほど恐ろしいものはないね。
この本もそうだけど↓。
学生時代のいろんなトラウマを思い出すよ。
- 作者: 小野田博一
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2006/09/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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とはいえ、私自身は、いまんとこ自然言語で間に合ってるんだよなorz..。
そのうちね、知ったかでごにょごにょやってみたいんですけどねぇ。老後かなあ。