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プアホワイト??

ケンカの作法―批判しなければ、日本は滅ぶケンカの作法―批判しなければ、日本は滅ぶ
辛 淑玉 佐高 信

by G-Tools


を読んだ。
いつもはこういう類の本は買わないのだけれど、
なんとなく時間が空いてしまって買った。


しかし批評系の新書って、
なんかもうブログでいい感じするね。


2度読み返したいとも思わないしね。


アルファブロガーの人たちの方が普通に面白い。


でも、この辛淑玉さんの、在日コリアン×フェミニストっていう属性から発する
ちょっと引くくらいの日本(人の甘さ)批判、男(の子供具合)批判は、
新鮮なところがあった。


辛さんがこの本の中で、「プアーホワイト」とよく言う。

 ここ数年、インターネットというサイバースペースの中で、すさまじいパッシングの嵐が吹き荒れている。たとえば掲示板の書き込みなどでは、女、外国籍住民、被差別部落民、学歴の低い者、障害者、セクシュアルマイノリティといった、いわゆる社会的弱者が、匿名の陰に隠れた卑劣な差別発言のターゲットにされている。
 しかし、この匿名の攻撃者たちがけっして叩こうとしない対象が、日本人で、若い男で、そして高学歴の貧乏人である。つまり、彼らこそが、こうした攻撃者たちの正体なのだろう。

 学歴は高いのに正社員になれず、職についても高い収入は得られず、不安定な身分を強いられ、ときには彼らが見下す女や外国人や障害者などより低い地位に置かれることさえある。そうしたことへの怒りのマグマは、バブル崩壊後着実に蓄積されていたに違いない。

 近年、少しずつ積み上げられてきた社会的弱者に対する人権擁護や社会的地位の改善政策がもたらした、わずかな生活のゆとりや人間らしい暮らしですら、これらの人々にはいらだちのもととなるだろう。

 一九六〇年代、アメリカで成立した公民権法によってアフリカ系アメリカ人の地位が多少向上したことに激しい憎悪を抱く、いわゆるプアーホワイトの存在がその後政治的に注目されるようになったが、ネット上で、憎悪をむき出しにする攻撃者たちは、いわば日本版プアーホワイトとでも呼べばいいのだろうか。


第二章 ケンカができない日本の野党 辛淑玉 p44

うーん。
こういう言説がブログ上であったらなあ。
それなりにはてブが盛り上がって楽しそうなんだが。。
おしい。


辛さんがはてな見たら面白いのになあと思った。
辛さんの言う日本版プアーホワイトという人たちがどのくらい存在してるのかは不明だけど、
ただ、頭いいなと思う人たちが、弱者を叩くんじゃなくて、
逆にいかに自虐するかを競ってブログ界を盛り上げてくれているのを見て、
あれ?とか思ったりしないかしらん。
(偏見かもしれませんすみません)


いや、それはそれで今度は
下流くんとか非モテという言葉に甘んじてる」
とか言って怒られちゃうのかな。
(偏見かもしれませんすみません)


ところでプアホワイト、
私は初耳ワードだったんだけど、
昔の言葉???(無知ですみません)
なんとなくイメージは分かるけど。
(しかしいかんせん自分がホワイトでないもので。侮蔑感がよくわからん。)
白人「なのに」低所得って意味合いの言葉よね。



そういや、日本在住が長いくせに日本のテレビを一切見ないで
CNNやアメリカ政治系podcastingで生活してる知り合いのアメリカ人曰く、
ここのところ、アメリカ政府(ていうかブッシュと取り巻き)は、
利権関係を中間層から取り上げて、より富を金持ちに集中させようとしてるそうだ。
だから中間層はきっついんだって。


そういえば、渡辺千賀さんも前、
ミドルクラスの地盤沈下ということを書かれていた。
これは技術者の話だからちょっと違うかもだけど、、。


アメリカも日本も、格差社会が進んでいくのかなあ。
プアホワイトって言い方はさすがにないと思うけど、
辛さんの言い換えの方、「高学歴貧乏」っていうのは
日米ともにまた、顕著になっていく気がする。
しかも、学歴と所得に相関性がなくなった、っていう方向の話じゃなくて、
学歴という面からだけ見ればだけど、
むしろ、超高学歴組を除いてはみんな五十歩百歩のロングテール図みたいな。。。
80%の人間で、50%のくらいの富をなかよく分けようよ、みたいな。
ある意味平和?
中途半端な学歴のプライドさえ捨てられればいいわけで、結構ありかも。


・・最近、格差社会をネタにした本や雑誌が多いけど、結局
上に行くべくがんばるか、下を楽しむメンタリティを身に着けるか、
この2択の提示が多い。


しかし、


真ん中に残って、煮え切らない部分はブロガーとして発散する。


という選択肢はさすがに誰も言わないなあー(違)。



ところでこの本、章ごとに、対談だったり、1人が書いていたりするんだけど、
佐高信さんだけが書いてるところは正直つまらない、、。
(この人のことをよく知らなくて申し訳ないのだけれど)
わざと自画自賛か主観か他人の言葉しか書かないで、
かつ論理じゃなくて人格批判や外見批判するキャラなの?
こういうのばっかりだったら、本を買わないどころかブログでも読まないと思う。
それとも他のところではすごいこと書いてるひとなのかな?


でも佐高さんだけのパートで
猪口邦子というオバハンの気持ち悪さは耐え難いものがある。」
とか言っておきながら、


違う章で佐高さん、辛さん、上野千鶴子さんっていう、
男×フェミニスト2人っていう辛い構図での対談で
2人が石原東京都知事の「ババア発言」を批判してるところでは
普通におとなしくなってて面白かった。


うーん。
このコントラストを出すのが狙いなのか?この本。
それだとしたら面白い戦略だなあ。
やっぱ自虐が流行りなのかな。