The Economics of Abundanceへの市井的期待
梅田望夫さんが提唱されている、”「大変化」に対応する原則”。
やっぱごきげんでいいなあ、と思った。
①アナロジー(類推)で考えてはいけない。
②「ムーアの法則」を信じ「おっちょこちょい」であれ。
③ Only the Paranoid Survive(極度な心配性だけが生き残る)。
④「時間の使い方の優先順位」を変えないと何変わらない。
⑤新しい現象に対し「古い感覚を総動員した理論武装」で戦うな。
⑥若い人に教わることを忌避するな。
⑦Never Too Late(決して遅すぎることはない)。
今、新しい考え方がどんどん”発明”されていく流れの中で、
専門家を自負する人たちは必ず一度は、
「それは古くから言われている何々で説明できる」と言う。
専門家が言うので私たち素人は、
「ああなんだそうなんだ」
と思っておとなしくなり、何事もなかったかのように、また日常に戻る。
実際、『これは新しい!』と鳴り物入りで出てきて、
誰もが一瞬「もしかしたら」と思い、淡い期待を抱いた何かが、
結局古い法則に逆らえず、やっぱりね、と淘汰されていくことは
よくある。
でもだからって、「次もまたどうせダメだろ」と
思ってしまうなら、
それこそが本末転倒、アナロジーそのものだ。
先日、50代のアメリカ人に
「YouTubeって、何でそんなすごいの?あんな高値で買われるほどのものに見えないけど。」と聞かれた。
「だってあの技術は、誰だってすぐ真似できるよね?」
それはその通り。ちょっと答えに窮した。
「ねえあれは、新しい文化なんだよ」と言ってみた(日本語通じる)。
あの芽を摘んじゃいけない、あの熱狂を潰されちゃいけない、
何かが「まっとうになる」、みんなが「幸せになる」、兆しがあるんだよ。
守って育てなきゃいけないコアが眠ってるんだよ。
・・自分でも何言ってるか分からなかったので、当然あまり理解してもらえなかった。。。
YouTubeのおかげで日本にいながらホームタウンのドラマが見られている彼ら。
日本で見ることを望んでも、需要がなさすぎて、買えたとしても送料合わせて大変高価、
もしくはそもそもパッケージにすらなっておらず、見る術がない可能性が高い。
彼らは有料でも、多少なら払って見るだろう。
それならそのテレビ局は、憤慨するどころか、逆にアップロードした人に対して手数料を払ってもいいくらいだ。
少ない需要に低コストでの供給ができ、それで対価を得られるのだから。
JASRACの中の人のYouTubeに対するインタビューがはてブに上がっていた。
■日本国内ではYouTubeモデル「成り立たない」?
日本国内でも現在、JASRACが監視対象としている動画投稿サイトが10前後ある。ただ、日本では送信可能化権や、ピア・ツー・ピア(P2P)型ファイル交換サービスの「ファイルローグ」を差し止めにした事例があることから浅倉氏は「日本版YouTubeはありえない」と釘を刺す。国内の事業者のなかには事前審査無しに投稿を許しているところもあり、ある企業には投稿方式についての意見書を提出、回答待ちだという。
ただ、強硬姿勢を貫くJASRACも、新たな技術の可能性自体を否定しているわけではない。悪いのは動画投稿サイトそのものではなく、違法コンテンツが後を絶たない仕組みであり、違法コンテンツを投稿するユーザー自身と位置づける。「YouTubeをつぶすつもりはない」(浅倉氏)。
締めの言葉が強烈だ。
”違法コンテンツが後を絶たない仕組み”。
それは私たちが便利だと尊ぶYouTubeのコア。
私たちが期待する熱狂の元。
採算が取れないとパッケージにならないせいで、
メディアの単価は高すぎた。
それでもパッケージになるならまだマシ、
マイナーで、一部の人にだけ一度だけ届けられ、そして消えていったものも多い。
世の中にはこんなに映像も音楽もあふれているのに、
私たちは、自分の財布と相談して、その中の何点かしか受け取ることができなかった。
いまそれが、届けられる”仕組み”が目の前にある。
マイナーだったかもしれないけど、でも確実に、もう一度観たがっていた人がいた映像。
選ばれて編集され、パッケージになったものたちの陰に、消えていったものたち。
一部の既得利権(パッケージ)の採算を守るために、
無数のロングテールの芽を摘もうとしている旧思考。
もし一つ一つがあんなに高くなかったら、
もっとたくさんのものを摂取したかったし、
それにだったら喜んで、同じだけのお小遣いをつぎ込んだであろう消費者を
悪いのは”違法コンテンツを投稿するユーザー自身”と、
切り捨てた。
ねえ、本当に「悪い」のは何?
全部提供しちゃおうよ!
クリス・アンダーソンが言った。
(と梅田さんのブログで知った)
衝撃だ。わかってくれる人がいた。
専門家ではないから、私はアナロジーでは考えない。
これは新しい価値観の始まりだ。
ほんとうの価値の始まりだ。
私が娯楽メディアに使える予算は、学生の頃と、正直、あんまり変わらない。
けど、約束するよ。
思い切って安価に、全部放出してみなよ。
もしあの頃の額で、何倍もの摂取が出来るようになるのなら、
あの頃以上に、私は払おうと思うよ。
アーティスト達が本当に欲しかったもの、
そう、心からのリスペクトを込めて。